受験期の親は、監督でも採点者でもない。

成績を見るのではなく、その子のゴールを見る
子どもたちが受験生だった頃、私は「ココロを放さない」ことを意識していました。
もちろん、学校へ行っている間まで四六時中考えていたわけではありません。
でも、「今日はどんな状態かな?」という視点では、ずっと見ていたように思います。
長男が初めて受験をするときは、
「大手の塾に通わせていれば、なんとなく受験は進んでいくものなのかな」
と思っていました。
でも実際に経験して学んだのは、
模試の成績や塾での評価よりも大切なのは、受験当日に本人が力を発揮できること
だということでした。
人間だから、身体が疲れる日もある。
気持ちが落ちる日もある。
やる気が出ない日もある。
そんな波があるのは当たり前です。
だから私は、受験当日以外なら疲れている日はしっかり充電していいと思っています。

模試も同じです。
点数に一喜一憂するものではなく、「今の現在地を知るためのもの」。
できなかったことが、受験当日までにできるようになればいい。
わからなかったことが、わかるようになればいい。
本当のジャッジは、受験当日に学校がするものです。
それまでは、親が毎回評価を下す必要はないと私は思っています。
親は、評価する人ではなく伴走する人
そんなふうに考えられるようになってから、
塾の先生も学校の先生も、「評価する人」ではなく、一緒にゴールを目指すチームになりました。
私は塾の先生には、こんなふうにお願いしていました。
「この子は〇〇高校に行きたいと思っています。
今の成績で行けるかどうかは、今はどうでもいいんです。
先生から見て、
- この高校に行くためにはどんな戦略が必要ですか?
- 何を、どれくらいやれば届きますか?
その作戦を一緒に考えていただけませんか。」
学校の懇談でも、
「先生から見て、この子のいいところって、どんなところだと思いますか?」
そんな質問をしていました。
子どもの強みを知っている先生は、困ったときにも、その子らしい声かけをしてくださるからです。
塾の先生にも学校の先生にも、評価ではなく作戦を一緒に考えてもらう存在として関わり、
私は、親の感情で一喜一憂しないように必死で努力していました。
正直に言えば、不安になることはありました。
でも、その不安を子どもにぶつけても受験には何のプラスにもなりません。
24時間テレビで、ランナーの横を伴走する人がいますよね。
伴走者は、自分が安心したいから横を走っているのではありません。
ランナーがゴールにたどり着くために、その人の状態を見ながら、必要な声をかけ、必要なタイミングで支える存在です。
受験も同じだと私は思っています。

子どもによって、目指すゴールは違う
親は監督でも、採点者でもありません。
子どもの可能性を信じながら、ゴールまで伴走するコーチです。
コーチは、自分の感情ではなく「その子がゴールに近づける関わり」を考えます。
もちろん、そのゴールは親が押しつけるものではありません。
本人が「ここへ行きたい」と願う場所であることが大切です。
だからこそ、「嫌われるかな」「言わないほうがいいかな」と、自分の不安を優先するのではなく、
今、この子がゴールに近づくために必要な関わりは何だろう。
その視点を持ち続けることが、受験期の親には何より大切なのではないかと思っています。
そして、これは受験だけの話ではありません。
子育て全体にも同じことが言えると思っています。
大切なのは、「この子のゴールは今どこなのだろう?」と見極めることです。
世の中には、受験に向かって走っている子もいます。
でも、身体が動かない。
学校へ行くことが難しい。
日常生活を送ることさえ精一杯。
そんな時期の子もいます。

その子にとってのゴールは、受験ではありません。
- 朝起きられることかもしれない。
- 笑顔で一日を過ごせることかもしれない。
- 安心して家を出られることかもしれない。
だから私は、ほかの子と同じゴールを目指そうとはしませんでした。
子どものココロを放さず、ゴールを見失わない
「まずは、この子が日常を送れるようになること。」
それが、その時の我が家のゴールでした。
周りを見れば焦ることもあります。
本人も焦ります。
私も何度も泣きました。
でも、だからこそ、親まで一緒になって焦るのではなく、
「この子は、この子のペースでいい。」
何度も自分に言い聞かせ続けました。
親が自分の不安を整えられると、子どもの焦りを受け止められるようになります。
そして、受け止めてもらえた子どもは、少しずつ前へ進む力を取り戻していきます。
親は、子どもの代わりに人生を歩くことはできません。
でも、ゴールを一緒に見つめ、その子に合った歩幅で伴走することはできます。
受験でも、学校生活でも、その先の人生でも。
- 子どものココロを放さず、
- ゴールを見失わず、
- 信じて一緒に歩き続ける。
それが、私が子どもたちから教えてもらった「親の役割」なのだと思っています。


